3361.「大人の男」に読ませるためには/BING:マイクロソフトの逆襲/携帯百景(06/16 10:24)


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昨日。一昨日は腰が不安だったので電車に乗っては出かけなかったが、昨日は午後、日本橋に出て丸善で本を見た。何に取り組むべきか――ということを考えながら。自分のやりたいことをやる、というのはつまりはわがままなことをする、ということでもある。しかしそれが究極的には自分だけではなく回りも、上手く行けばこの社会も、日本国家も、世界もよい方向に動かせるようなことにつながれば、それは単にやりたいことではなくやるべきことでもあったことになる。つまり使命である。日々の暮らしを立てることは重要だが、それだけではつまらない、とみな思っている。しかし暮らしを立てながら、さらにその先のことを考え、行動に移すことはそう簡単なことではない。私自身の暗中模索も、その両者をいかに実現していくかということにあった。

ずっとウェブでいろいろなことを書いてきたが、一体誰に向けて書いていたのだろう。誰がこの文章を読んでくれているのか、どういう人がこの文章を読む人の中心像なのか、私はずっとわからなかったし決めきれないで来た。だからいろいろな方向にぶれてみたり、書く気を失ったりしたことも多い。しかし「書く」ことそのものが自分にとって必要なことである、ということはだんだん確かになってきたので、誰に書いているのか判らないままとにかく書き続けてきた。

<画像>大不況には本を読む (中公新書ラクレ)
橋本 治
中央公論新社

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日本橋の丸善で、橋本治『大不況には本を読む』(中公新書ラクレ、2009)と勝間和代『断る力』(文春文庫、2009)を買う。降りそうで降らない天気。ツイッターでときどきつぶやきを送る。なかなか面白い。

帰ってきて橋本を読む。現在86ページ。橋本治は面白いからもともと読んでいたのだが、『上司は思いつきでものを言う』が売れて以来、彼には全く似つかわしくないビジネス書の分野で売れているのが可笑しい。言っていることは昔からそんなに変わってるわけではないのだけど、1980年代以来の世界経済の流れを大雑把にまとめて今はこういう状態なんだ!とかいているのが「おぉ」という感じですごかった。いや、割合面白いというか、いいところを突いているところがたくさんあると思うのだけど、何しろこちらも経済のことはすごくよくわかるわけではないのでどのくらい正しいのかよくわからない。しかし、現代の今の状態を把握するためには、経済というのは確かに無視の出来ないファクターで、橋本のように蛮勇をふるって自分なりに世界経済観を構築しておくことは誰にとっても必要なことなのではないかと思った。

特に正しいと思うのは、「アメリカの勝利」というのは結局、ルールをつくり、それを日本や世界に要求する力にある、という点だ。80年代の自動車摩擦で日本車の輸入が激増したとき、日本人なら自国に適した車を開発する方向に動いただろうに、アメリカはそうではなく日本に輸入を要求する方向に動いた。その結果日本は「内需拡大」を求められ、日本人は「特に必要ではないもの」をたくさん買い始めた、というのである。これはなるほどと思う。バブル期の泰西名画の買いあさりとか、結局もともとはアメリカの「内需拡大」要求に端を発したバリエーションなのだ。アメリカ的生活様式がそれなりに日本に定着すると、今度はその文化的起源を求めてフランスやイタリアのものを愛好する方向(グッチとかエルメスを買い漁る日本人観光客、って奴だ)に動き、そうした方向性は日本人だけでなく日本をモデルとした後発の韓国や中国にも受け継がれていった。

日本人がそんなわけの判らん買い物をしているうちにアメリカはIT革命とか金融資本主義とか新しいルールを作り出し、世界中から金を吸い寄せ始め、その金で庶民に借金をさせまくり、ついに破綻したのが2008年だ、というわけである。


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