3359.読売新聞の村上春樹インタビュー(下)/橋本治『大不況には本を読む』(06/18 11:54)


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昨日。午後湖畔に出かけ、その後そのまま職場に。昨日は早い時間から忙しいのに仕事がないという変な状態。遅くなってからどんどん仕事も出てきて本当に忙しくはなったが、多分これも昨日まで。今日は比較的暇だろうと思う。

仕事を終えて返ってきて、NHKで太宰治の番組を見ながら夕食。太宰の生涯ってあまり知らなかったのだが、破滅的な人生を送った前半生と晩年の間に、おだやかで家庭的な一時期があったということをはじめて知った。その場所が甲府だったということも。その時期があったから最後に「斜陽」、「晩年」と文学史に残る作品を書けたのだなと思う。モーニングに掲載されている『ンダスゲマイネ』では内縁の妻が出て来るが、結局彼女も捨ててしまう、らしいということを知る。最初はこんなもの見ながらメシを食うのはイヤだなと思っていたのだが、母が熱心に見ていたのでチャンネルを替えるとも言いづらく、結局見てしまったがけっこう面白かった。

今朝は5時過ぎに起きて車でファミマに読売新聞とモーニングを買いに出かける。どうもストレスっぽいものがもやもやしているのでそのまま湖を見下ろす山の中腹の公園まで車を飛ばし、写真をとって携帯百景に投稿したり。雨が軽く降ったりやんだり。ストレスって、自分の外にあるものとしてのとらえ方で、自分の問題としてとらえれば「余裕がない」ということだよなと思う。そう考えると、自分の心のもちようでストレスを減らすことは可能だなと思う。そう思ったら心はずいぶん軽くなった。

家に帰って読売新聞を読む。アメリカの国務省当局がツイッターに対し、メンテの延期を要請したという。イラン情勢の悪化に伴い政権側が報道管制を強めている状況の中で、ツイッターが重要な情報発信・連絡手段になっているのだそうだ。イランは基本的に都市部はかなり近代化されていることは知っていたが、ネットがそのように利用されているというのははじめて知った。中国だとそういうものまで統制することが可能だが、イランはもっと民主的なんだろうか。一企業のメンテ作業にまで国務省が口出しをするということは結局アメリカが改革派を支援しているということを表明するようなものだけど、今や相当広範囲の国でネットの威力というのは政治的な権力関係にまで影響を及ぼしているのだなと改めて思った。

イランでは反体制派の情報によれば11都市で治安部隊との衝突が起こっているという。アフガニスタン・パキスタン国境に近いザヘダンでもそうした状態だということを考えると、イランは国民レベルではかなり反原理主義的な方向に舵を切り出しているわけで、イスラム世界での原理主義の伸張とは違うベクトルが働き出しているということになる。もともとパーレビ王朝時代は中東でもっとも親米的な国だったわけで、イランは見かけよりずっと親米志向が強いと思う。この動きを成就させることはなかなか難しいと思うが、中国や北朝鮮などの社会主義独裁体制にあった国よりも、イランの方が豊かでなおかつ思想的な風通しもよかったといえるだろうと思う。「イラン革命体制」の維持の可否は早晩問われることになっていくのだろうな。

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<画像>モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号
柴田 元幸
ヴィレッジブックス

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村上春樹インタビュー・下を読む。今日の内容は文体・小説作法に関することが中心。このことは、「モンキービジネス」で触れていた部分と触れていない部分がある。『1Q84』の1000ページを越える長編を支える強靭な文体(緻密な仮説ディテイルの注意深い集積))を村上は作り上げてきたという指摘に対して村上は答える。一つには『海辺のカフカ』以降、いくつかの古典新訳の翻訳書を出してきて、「翻訳家として責務を負える力がついたと判断してとりかかり、何とか乗り越えた」ことがある。またリアリズム小説(『ノルウェイの森』)を書き、人の話を徹底的に聞いて文章にし、(『アンダーグラウンド』)連日オリンピックを見て30〜40枚書いて(『シドニー!』)書きたいのに技術的にかけない、というものはずいぶん少なくなってきて、一作ごとに自分なりの新しい言語システムを開発してきた、という。このあたりのことは『モンキービジネス』でも言っていた。「自分で考えながらやっていくしかない」と村上は言う。村上の文体創造のプロセス自体が巨大なビルグントゥスロマンになっている。


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