3334.何だ、これは。(岡本太郎風に):磯崎憲一郎『肝心の子供』(08/16 10:55)


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近松ってそういう意味で神話的だなと前から思っていたけれども、磯崎はそういう農業創始譚、農業英雄譚みたいな神話を創造する、つまりウソ話をでっち上げる才能に満ち満ちていて、確かに帯にあるような「世界文学性」をこの人は持っていると思った。マルケスやボルヘスと近いものをこの人は資質として持っているんだろう。

まあここまでは、新しい才能の出現を祝福する、という文学賞の紋切り型的な賞賛で終わってもいいのだけど、じゃあその才能の持つ可能性というのはどうなのだろうと思う。確かにこういう才能は、日本では珍しいんじゃないかと思う。似たようなものを持っていても、もっと土俗的だったり怪奇性に偏っていたりすることが多く、こういうあっけらかんとした個性はほかにないだろう。しかし世界で見たらどうか。世界的に見ても、たとえば村上春樹はほかに類似の才能がない、と言っていいように思う。エピゴーネンはいても本来の資質として彼に並び立つような人は私は知らない。寡聞のためかもしれないが。しかし、磯崎は、今の時点ではまだほかに似た人がいるような気がする。しかし、まだ既刊の小説を二冊読んでないから、まず読んでからいろいろ書くべきだなとは思う。しかし図書館ではどれも貸し出し中なので、今日本屋で買うことにしよう。


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