本当に「出来る」ようになるためには、「ある程度できること」を捨てなければいけない、天才の道は秀才の道を捨てることから始まる、というのはニーチェが『ツァラトゥストラ』で「高人たちへの同情を捨てよ」と言っていることと同じだろう。変化を恐れず、飛び込んでいけ、というアドバイスだ。間違った道でないことは、結局は祈るしかない。しかしそこにバカの壁があることを知らなければ簡単に間違え、取り返しがつかないことが起こることになるのだから、それは十分に意識しなければならない。(どうしたら間違えないか、ということはこれもまた身体性と関係がある、と養老はあとで述べているのだが、それはまた後の機会に)また、その人にあった「捨て方」というのもあるから、アドバイスをするほうもなかなか難しいものではある。