25.川勝知事の「差別発言」と、日本が「雑兵が主人」であり「信仰されないと朽ちていく弱いエリート」の国であること(04/03 09:46)


< ページ移動: 1 2 >

4月3日(水)曇り

今日の予報はこれから雨ということで、1日大体降りそうな感じなのだが、今日は近くの高校が新学期の始まり、つまり始業式ということで家の前の道をぞろぞろと高校生が上がっていっている。この道は通学路というわけではないのだが、いわば裏道として使っている生徒が多く、通学時間は車を動かすのが多少面倒なのだが、休み中は静かだったので、またそういう意味での日常が返ってきたという感じはなくはない。

昨日はいろいろ仕事があったのだが、午前中に事務の人と協力してなんとか道筋をつけたので、ちょっと気が軽くはなっている。まあ一つ一つ片付けていこうということだなと。

***

「野望」についていろいろ考えたのだが、これはまた改めて書きたいと思う。

***

川勝知事の「差別発言」がいろいろ取り沙汰されているので、それについて考えたことについて少し書こうと思う。

川勝知事の発言をいろいろ考えると、つまりは「君たち(県庁の役人)は「雑兵」ではなく「軍師」なのだからそこ考えて奮励してくれたまえ」ということだと思うのだけど、あいにくと日本は「雑兵の国」なので、皆さんを怒らせた、ということなのだと思う。

まあ「俺は軍師タイプなんでー、まあ雑兵のやるようなことはやるべきじゃないかなと」とかいう「俺はまだ本気出してないだけ」みたいな人がよくネットで嘲笑の対象になっているが、まあそういう「お気持ち軍師」とは違って知事が直接訓示をするような県庁の役人の人たちはまあ県内では少なくともエリートだろうから、ついまあ口が滑った、みたいなことなんだろうとは思う。

ただ日本という国は、エリートが完全に庶民労働者を押さえつけその上に立っているヨーロッパのような階級社会ではなく、エリートなんか根本的には便所の紙くらいにしか思ってない(いないと困ることは困る)庶民とか雑兵とか「百姓」とかいってもいい感じの人たちの国だということはエリートの人たちもちゃんと自覚しておかないと余計なところで叩かれるわけである。渡部昇一さんはこういう人たちのことを「ドン百姓」と呼んだが、それはどん百姓であり、ドン・ジョヴァンニのドン、すなわち「貴族」でもある、という意味合いで読んでいる。そのほかの言い方としては善男善女とか草木国土悉皆成仏みたいな言い方もあるだろう。

最近の言葉で言えば「納税者」だろうか。自分たちの血税を既成エリートどもがじゃぶじゃぶ無駄遣いして美味しいものを食っている、みたいな意識が既成エリート攻撃に向かい、維新の会などを躍進させたわけで、この辺りは流石のポピュリスト政党だということだと改めてよくわかる。

「庶民」はともかく自分たちを足蹴にして自分たちだけでいい思いをしている(ように見える)エリートという存在が嫌いなわけである。

エリートの世界にはエリートの世界で血による、つまり家系図的な差別意識もあるだろうし、富の力による差別意識もあり、また一番大きく普遍的なのは能力による差別意識、つまりメリトクラシーであるだろう。これらの意識はそれぞれ庶民にもそれなりに浸透しているので、そうした差別感をうまく利用して特別感を出すことによってエリートがその地位を築いている、ということはある。2世議員というものも結局はそういうことだろう。

まあそれはともかく、庶民は「実力で金持ちになった人たち」はともかく、「システムを利用してうまい汁を吸っている人たち」が一番嫌いなわけで、政治資金問題なども結局はそうだろうと思う。またコラボ問題など弱者支援の左翼が公金をチューチューしているというのが憎まれるのも同じ問題だろうと思う。

逆に言えば、庶民は血統なり能力なり財産なり様々な理由や力によって「貴いもの」「偉大なもの」になっている人たちの「自己犠牲の物語」にとても弱い。自分たちが払っている犠牲を、この「貴いお方」も払っている、と考えると、涙せずにはいられないわけである。

そういう話の典型は古代の天皇に関する説話だが、民が寒さに苦しんでいるのを知った村上天皇が宮中できているものを一枚脱いで民と同じ寒さを感じようとして重臣たちを感涙させたという話や、仁徳天皇が民の竈から煙が上らないのを見て税を取ることを数年やめて宮中は荒れ果ててしまったものの民の竈からは煙が勢いよく上るようになった、というような話である。

 高き屋にのぼりて見れば煙立つ民のかまどは賑わいにけり

もっと近い例で言えば、戦前の日本で「軍神」といえば海軍で東郷平八郎であるのは日露戦争の日本海海戦の実績を踏まえれば当然のことだけれども、陸軍で言えば乃木希典であり、二〇三高地で無謀な突撃を繰り返し多くの将兵を失い、最終的には参謀の児玉源太郎に指揮を委ねてようやく勝利した彼が軍神であるのはちょっと首を捻る感じがある。


< ページ移動: 1 2 >
25/5059

コメント投稿
次の記事へ >
< 前の記事へ
一覧へ戻る

Powered by
MT4i v2.21