21.「ふつうの軽音部」が楽しみだ/「忘却バッテリー」細かい捕手の技術を題材にストーリーを盛り上げる手腕/「生成AI」再論/「もっとみんな政治に関心を持てばいいのに」という言葉をめぐって(04/07 09:13)


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世界的な自由主義経済を肯定するなら方向性があまり多様になることはないのだが、ありえないわけではない可能性としては日本がガラパゴス化するという選択もなくはない。日本が独自ルールを作って輸入を拒否するというようなパターンである。また日本の消費者や受取手の考え方は他国とは違うところがあり、例えば音楽など世界的に配信が中心になってきた中でも日本ではCDがまだかなり売れているということもあり、これは日本独自の文化というか「モノ」に対するこだわりみたいなものがあるからだと思う。そうした「品質へのこだわり」という点において勝負できるような法体系を組み立てていくという選択肢もなくはないだろうと思う。ある程度のガラパゴス化は覚悟した上で、ということではあるのだが。

まあそんなに簡単に結論の出るような問題でもないのだろうけど、とりあえず今自分に見える範囲のことをまとめてみた。

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「もっとみんな政治に関心を持てばいいのに」という呟きをいくつかみたのだけど、そういえば私はそういうふうに思ったことはほとんど全くないな、ということに気がついた。

そういうことを思う人たちは、学校教育的に正しい人たちで、世の中の正しくないと思われる部分を考えて、それが是正されていくような政治であるために、もっとみんな「改革勢力」を支持してほしい、と思っている人が多いのではないかという気がする。

私自身ももちろんもっと社会的な問題が注目されてそれに対して政治が動くように持っていければいいなとは思うが、「政治に関心を持ってほしい」というレベルの望みとそれは違う気がする。

「政治に関心を持ってほしい」という願いは「関心を持ってくれたら当然自分の考えに賛同してくれるはずだ」という思い込みがどこかにあるのではないかという感じがするし、それに関しては「そんなことあるはずないだろう」としか思わないということもある。

政治に関心を持つ人が少ないということは現状に満足しているという要素もあるだろうし、それこそ多くの人たちが政治集団や活動家集団に意識的に動員されてないということでもあるから、むしろいいことではないかと思う部分もある。「十八史略」の「鼓腹撃壌」の故事にもあるように、「自分たちの生活がいいのは王様のおかげです」みたいに子供が歌ってるのを聞いて眉唾だと思った帝堯が老人が「王様の力なんて俺たちには関係ないさ!」当たっているのを聞いて「これこそが本当に政治がうまくいっている証拠だ」と安心した、という話と同じだろう。

そういう意味で日本人があまり政治に関心を持たないとしたら(私はそんなこともないと思うのだが)それはそれで悪くないかもしれないとも思うわけである。

実際のところ、自分のことを考えてみると、私は小学生の頃から「政治」というものに関心はあったなと思う。いろいろな要素はあるが、子どもの頃の自分が一番不思議だったのは、物事を決めようとするときになぜ「多数決」で決めるのか、ということだった。多数の意見が正しいなんてことは必ずしもないのに、ということもあったし、一票でも多かった方の意見に正しくても正しくなくても従わなければいけないとか、よく意味がわからないということもあった。

まあ集団で物事をどう進めるのかを決めるときになるべく意見の多い方に進むという選択はまあその進めるための推進力があるという点で意味のないことではないとは思うけれども、一票差とかだとそういう意味でもかなり微妙になるだろう。

また、いくつかの意見のうち一番票を取った意見(或いは候補者)が過半数に達しないときに決選投票をするという仕組みは、考えてみれば最初の投票の時に入れた人たちは「積極的賛成」であり、2回目以降に入れた人は「消極的賛成」ということになる。その消極的賛成の票によって順位が入れ替わることだってあるわけで、そうなると「積極的賛成」がかなり少ない意見でも選択され、その結果積極的に動く人が少なくてあまりうまく行かない、ということだって起こり得るわけである。

まあそんな角度から私は「政治」というか「民主主義の仕組み」について小学生の頃からいろいろ疑問を持っていた。また歴史が好きだったのも、歴史上の物事が暴力によって動いたり、戦争によって動いたりする一方で「優れた指導者の指導」によってうまくいったり、「民主主義によって多くの人が賛同したから」うまくいったりする、その政治的バリエーションの多さが好きだったのだろうなと今では思う。

また必ずしも政治はその時の「正義」の方向に向かって動くとは限らないし、まして現在の正義の方向に動くことなどほとんどない、ということもまたある意味面白いなと思ってみていた。だから「政治」には興味はあったが「みんなが政治に興味を持つべき」という方向での関心ではなかった、ということになるかなと思う。


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