2.「ララランド La La Land」を見た。とてもよかった。(1)(03/13 19:30)


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<画像:Ost: La La Land>
Ost: La La Land [CD]
Original Soundtrack
Interscope Records
2016-12-09


 「ラ・ラ・ランド La La Land」(デミアン・チャゼル監督、主演ライアン・ゴスリング/エマ・ストーン)をみた。とてもよい映画だった。

 私は基本的に、ハリウッド映画は見ていない。別に主義があるわけではないのだが、そう面白いと思うものがなくて、最近で見たのは特殊効果的な興味で「ゼロ・グラビティ Gravity」を見たくらいしか思い出せない。ただ、別に排除しているわけではなくて、特に昔のオードリー・ヘプバーンの「パリの恋人 Funny Face」などはとても好きだ。

以前はヨーロッパ映画はよく見ていたが、最近はそれもあまり見なくなり、映画は全然見ない時期が続いて、ここ数年になってスタジオ・ジブリの映画を片端から見たり、「魔法少女まどか☆マギカ」の劇場版を見たりしてから、少しずつ映画に復帰して来た感じだ。主にアニメ系が中心だったが。

その中で、昨年は「シン・ゴジラ」にはじまり、「君の名は。」「この世界の片隅に」と3本も見たのでかなり突出していたのだが、その中で映画にも新しい風が吹いて来た思いがあって、あまり面白くないように見える一般の(つまりアニメでない)映画も、私が見て面白いと思える映画が作られつつあるのではないかという気がして来ていた。

そんな中で、今年のアカデミー賞のあの騒ぎがあった。初め、作品賞を「ラ・ラ・ランド」と発表したのに実は間違いで、「ムーンライト」であったというあの騒ぎだ。しばらくして日本で公開されると、かなりの賛否両論。ツイートや映画評の断片を見ていると、なんだか興味深い感想の違いが出て来ていて、これは見てもいいかなと思っていた。「進撃の巨人」の作者の諫山創さんがブログで書いていた感想も興味を引かれたし、最終的にはツイートで二人で見に行ってご本人が凄く衝撃を受けて落ち着かないくらいなのに、隣で見た人が唖然としてこんなにつまらない映画は久しぶりだと言った、というのを見て、これは見るしかないと思った。

いい映画は絶対賛否が分かれる。人はいい映画でなければ批判したり非難したりしない。当然の話だが、つまらない映画を批判しても誰も振り向いてくれない。だから、批判している人も一定いる、という映画の方が面白いことが多い。そして、だいたいそういう映画は私の琴線に触れることが多いのだけど、今回もそれはピタリと当たった。名作だった。

正直、細かいところはもっとよく出来るのに、と思った場面はあった。しかし、あとでではあるが監督のデミアン・チャゼルがまだ32歳だということを知って、その未完成さ、ちょっとした隙や甘さはむしろ可能性の大きさの指標なのかもしれないと思った。そして何よりも圧倒的なメッセージ性。映画・音楽・演劇、そういう広義の舞台芸術に対する圧倒的なオマージュに満ちた作品で、本当に私を揺さぶるものがあった。

この作品はおそらくシンプルに見ても面白い人は面白いと思うのだけど、批判する人がどちらかというと「バカっぽい映画」みたいな感じでいうのに反して、ものすごくハイコンテクストな作品であり、逆に言えば批判する人が実はあんまり映画を見ていないんじゃないかという気にさせられる。

上に書いたように、私はもともとあまりハリウッド映画は見ないので、この映画を堪能し損ねてる部分が凄くあるだろうというところが残念だ。とくに作中引用されているジェームズ・ディーン主演の「理由なき反抗」は見ておけばよかったと思った。しかしそんな私でもみながらとても意識した作品がある。多分、ある程度映画を見たことのある人なら、誰でも一つはそういう作品を思いつくのではないか。

私が意識したのは、一つは「蒲田行進曲」。映画についての映画だから、まあ当たり前かもしれない。もうひとつは薬師丸ひろ子主演の「Wの悲劇」。これも女優についての映画だから、わかりやすいかもしれない。でも一番意識したのは上にも書いたオードリー・ヘプバーンの「パリの恋人 Funny Face」だ。


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