13.買い手の負担と売り手の負担/国学以前の日本保守のルーツ/ロシアとアメリカの世界観(地政学)的対立と嫌韓嫌中が成立するワケ(03/15 08:17)


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少し調べてみると、2023年の南アフリカでの販売台数はトヨタがトップで26%、続いてフォルクスワーゲンで12%という感じだが、トヨタでも約11000台なので中国メーカーが入っていく余地は多いだろう。というか現実的には中古車が多いのだろうな。イスラエルは現代、トヨタ、起亜とつづき、韓国メーカーが強いというのは少し意外な感じ。UAEでは金額ベースで日本車が42パーセントというデータもあり、それぞれ中国メーカーがどのように進出していくかというところだろうか。EVにかなり振ってきているという印象は強いが。

自動車も流れはEVという雰囲気は強いが、まだまだ長距離にはバッテリーの問題があるわけだし、ガソリン車の強みはそう簡単には消えないだろうとは思う。中国も経済で勝負していけばまだいいのだが軍事的な脅威の面も強めているのが困ったものだ。

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もう一つの焦点になる国、ロシアについて「地政学」的な観点からその行動規範を指摘しているのがこちら。

https://gendai.media/articles/-/107476

地政学と言っても英米流のマッキンダー・スパイクマン理論とドイツ流のハウスフォーファーの理論とではかなり考え方が違うと。前者は各国の独立は自明と見做し、ハートランドに強大な国家が現れたら領土拡大を狙うので、それらを集団安全保障の考え方から「封じ込めて」いくという思想で、つまりはイギリスによるロシアの「南下政策」封じ込め論、アメリカのソ連(共産圏)封じ込め政策がその典型だというわけだ。日本の、というか安倍元首相が唱えた「自由で開かれたインド太平洋」というのも中国やロシアを封じ込めるという方向性で言えばその系列上にあるということかもしれない。

ハウスホーファーの地政学は「生存圏(レーベンスラウム)」「経済自足圏(アウタルキー)」といったナチスの思想への影響が言われるけれども、山縣有朋の「主権線と利益線」であるとか「満洲は日本の生命線」と言ったような思想への「圏域」という考え方の影響が感じられる。本来海洋国家である日本が大陸進出を目指したのもこうしたドイツ流の地政学の影響があるとも考えられるし、米英に比べて劣った海軍力しか持ち得なかった戦前日本にとっては他に取れない政策だったのかもしれない。というか逆に言えば第二次世界大戦の時に初めて海洋国家的な戦略を実行していったとも言えるのだが、米英と対立してのその政策はやはり困難だっただろう。

逆に言えば海洋国家としての性格と大陸国家でもあることを目指した政策の両面があったから戦前日本の方向性が分裂したとも言えるしだからこそアメリカとしてもやりにくい感じはあったのだろう。大陸での戦いは同じ大陸国家である中国やソ連に任せていたという感じが強い。

こうした思想の継承者とも言えるロシアのドゥーギンはロシアを中心としたユーラシアにその圏域が存在するのだが、冷戦終了後それが削り取られてしまったので、その圏域を回復することが急務であるという思想なのだという。

現在のウクライナの動きについて、

「「英米系地政学」理論にそって言えば、ウクライナは、現代国際法秩序にそって、「大陸系地政学」の世界観を否定し、ロシアの「勢力圏」に服することを拒絶しているだけである。」

と指摘している。つまりロシアから見れば、ウクライナの動きはこうした思想を否定する、「裏切り行為」であると見做しているということになるわけだ。

読んでいて思ったのは、「英米系世界秩序」という言葉を私自身もよく使ってきているけれども、それを支えているのは国際法思想や民族自決論、集団安全保障論だけではなく、背景にあるマッキンダー・スパイク漫画他の地政学的世界認識、ということがあるのだなと思った。

ただこの前提そのものがロシアや中国といった大陸国家は最初から「封じ込められる存在」であると見做しているわけだから、この世界観をロシアや中国に納得させるのは無理だろうなと思う。同じく大陸国家であるドイツが腰が定まらない感じがするのもそういうことがあるのかもしれないと思う。

逆に戦後日本の立場は、アメリカという海洋国家による大陸国家封じ込め政策に乗っていれば良かったわけだから、本来の日本の海洋国家としての立場と矛盾が生じず、明確な摩擦が起こらない限りは安泰だということになって長期間の平和を享受できたという面はあるのだろう。「中国や韓国に関わるのは懲り懲り」という嫌韓・嫌中が成立し得るのも、「韓国や中国の大陸国家とは最初から明確な利害対立がある」という世界観に支えられている面があるのかもしれないと思う。

まあ仮の理解としてだが、そんなことを思った。



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