12.船場の道徳と近江商人:浄土真宗と日本資本主義の精神/トイレ掃除という修養(03/16 07:04)


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これを読むと、日本の歴史ブームみたいなものも松下の大きな功績によるところが大きいのではないかと思った。「資本主義」と「木簡の研究者」が比べられ揶揄されている文脈があったが、まあ木簡研究者の存在そのものが学問的伝統とは別に松下のような資本家の貢献があって初めて成り立つものである、と言う認識は研究者自身も持った方がいいよなとは思った。

宗教的な意味での「資本主義の精神」の起源として、西欧におけるマックス・ウェーバーが指摘したような「プロテスタンティズムの倫理」に匹敵するものとして日本では「浄土真宗の精神」が指摘されているのは知っていたが、船場や近江商人が多くが浄土真宗だった、と言うことを知るとかなり説得力があるなと思う。民俗学の研究者が他宗の集落はさまざまな特徴があって面白いが、浄土真宗の集落はみんな同じようでつまらない、みたいなことを言っているのを読んだことがあるが、いろいろな意味で浄土真宗という信仰は日本に大きな影響を与えているのだなと思う。松下幸之助の葬儀も北御堂で行われたという。

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次の章ではダスキンの創業者である鈴木清一は「一燈園」の西田天香に弟子入りし、その影響を強く受けている、ということが書かれているが、一燈園もまた宗教的な修養団体という感じで、彼らのやっている奉仕として「近所の便所を掃除する」というものがあるらしい。ダスキンも研修でこれを導入していて、よく会社の研修とかでトイレ掃除が出てきたり、お金を儲けるためにはまずトイレ掃除、みたいなことが言われたりするのもこういうところが起源なのかなと思った。

この辺りのところはまた読んでからまとめ、感想を書いてみたい。

実際、この辺りのことは日本の経済状況が良い時代には「日本の成功の理由」としていろいろ語られた中にあったことだし、今でも財界の保守派の人たちには根底にそういうものはあるのではないかと思う。日本が反転攻勢に出る時にこういうものが残っていると良いなあという気持ちはある。



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