12.宇都宮健児さんのインタビューから都知事選野党惨敗の原因と左翼陣営復活の可能性について考える(08/06 10:05)


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都知事選に過去二回立候補したものの、今回の知事選では鳥越氏に譲る形で立候補しなかった宇都宮健児さんがハフィントンポストのインタビューに答えた記事がとても興味深かったので、今日のブログではこの記事についてちょっと考えてみたいと。

「日本の市民運動はもっと利口になれ」宇都宮健児氏、都知事選を振り返る

私は基本的に宇都宮さんとは考えが違いますので立候補していても投票はしませんでしたが、鳥越さんよりは宇都宮さんに立候補してもらいたいと思っていました。この文章を読んでその「感じ方」は正しかったなと改めて思いました。

立候補取りやめの過程で宇都宮さんや市民運動の人たちに何が起こったか。7月11日に野党共闘という形で鳥越さんに決まると、政党に近い人たちも無党派の人たちも分裂と対立に巻き込まれてしまったのだそうです。

「撤退直前の選対事務局は電話・メールの7割くらいが「早く降りろ」「何をやってんだ」というもので、・・・降りたとたんに「何で応援に来ないんだ」に変わって行くわけです。」

今回は自民党都連が「党の候補以外を本人だけでなく家族が応援しても除名処分」という通知を出して批判を浴びましたが、野党陣営でも同じようなことがあったというのです。

宇都宮さんは弁護士ですから、「私は暴力団やヤミ金融を相手にしてきましたから比較的慣れているけど、純粋に市民運動を考えている人は心が痛むわけですよね。昨日まで一緒にやっていた人と別れて、そういう人からバッシングや誹謗中傷が浴びせられる。」

日本の左翼運動の体質は小林よしのりさんが「脱正義論」を書いたときから何も変わっていないんだなあと思わされます。

鳥越さんが統一候補となるために宇都宮さんが降りる際、批判されても政策協定を結んでおけば大義名分があると突っぱねられたけど、そういうものは出来なかった。だから結局、運動の中に分裂と感情的な対立が生まれることがこれからの運動によくない影響を与える、「運動をやめるのでなく都政を変える運動をこれまで以上に進めるための撤退だ」と言って納得してもらったのだそうです。

これを読むと、宇都宮さんとしてはずいぶん不本意な形での撤退だったことがよくわかります。

結局、鳥越さんを野党統一候補にしたのは政党側だけで、中でどういう議論をしているのか「私たちには見えなかった」と。政党が決めてそれを市民運動の側に押し付けてきた。与党が知名度頼みの選挙を二度やって結果猪瀬・升添と二度続けて途中辞任になった、そういう候補者選びを野党がやってしまった、と宇都宮さんはいう。それは女性スキャンダルをしかけられるような候補を立ててしまったことも言外に含んでいるのだと思います。
ここまでは、候補者選びの過程に対する強い批判。全くその通りだと思います。

後半は、運動の進め方についての批判、市民運動の側と左翼政党の側の両方に対する批判があります。

政治に取り組む人間には二つ、重要な課題があると言います。一つは権力を掌握すること、二つ目はその権力を使って政策を実行することです。これは、私に近い地方政治経験者の方から聞いた話で、全くその通りだなと思います。

権力を握らなければ自分のしたい政治・やりたい政策は実行できません。そのためには選挙で当選する必要があり、また代議制民主主義の仕組みでは、議会内で多数派を形成する必要があるわけです。権力は本来私利私欲のために政治家に与えられているものではなく、市民の負託にこたえるために与えられているものですから、まずはその資格を得ることが必要なわけです。

そして、政治が実行しなければならないさまざまな課題に対し、いろいろなアイディアを出し、それを実現させていくことが必要で、それがなければ政治家になる資格はないと言ってもいいでしょう。知名度やルックスではなく、その政策の中身が重視されることは当然のことです。

現代において、人々にそれをアピールする上で最も重要な媒体の一つがテレビだと宇都宮さんは言います。選挙演説に1万人集めてもそれは都民の有権者の0.1%に過ぎない。ネットで訴えても若者しか見ない。テレビであれば高齢者から若者まで、視聴率が10%なら1000万人が見る、というわけです。この計算は日本全体の計算になってますので都民にすれば100万人ということになりますが、それでも桁が違うのは指摘の通りです。しかし「市民連合」が推した候補は前回の細川さん、今回の鳥越さんとも、テレビ討論を何度もキャンセルし、与党側の候補に迫ることが出来なかった。


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