10.「ぼールルームへようこそ」第9巻を読みました。(06/24 10:35)


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竹内友さん「ボールルームへようこそ」9巻を読んだ。

竹内友
講談社
2017-06-23



今年(2017年)のはじめまで1年余り休載していた「ボールルームへようこそ」が、テレビアニメ化決定という驚きとともに連載を再開したのが2月号。それ以来、3、4、5月号と掲載されて6月は休みで7月号まで、順調に掲載されて、そこまでが第9巻に収録されているので、7月6日発売の8月号ではその続きが読めることになるし、その後すぐ8日にアニメ放送が始まるので、「ボールルームへようこそ」、かなり加速している感じがする。

色々なコラボも行われていて、その辺はフォローしきってはいないが、昨日(6月23日)にツタヤで9巻を買ったら進撃の巨人のリヴァイとのコラボのブックカバーがついてきた。

第8巻が出たのが2015年の10月で、8巻は2015年の8月号の途中までが収められているという変則的な収録になっている。だからその後の分、休載前の2015年8、9、12月号に掲載された分から9巻に収められていて、単行本では38話(Heat38と表現されているが、以下38話という表現で触れる)「千夏と明」が54ページと長大になっているが、その前半までが休載前に相当する。また、単行本では41話になっている9巻ラストの「着地点」が7月号では42話になっていて、とにかくこの作品は連載掲載後に単行本でいつも徹底的に修正されていて、そのあたりも通常と異なって興味深いものがある。

私は単行本8巻をたまたま買ってからこの作品を読み始めたので、その後既刊の7巻までを含めて読み切ったのだが、8巻の続き部分で連載誌(月刊少年マガジン)で読めないところがあったので、結局2015年の8月号と9月号はkindleで読んだ。(Kindleで読める雑誌ならバックナンバーももちろん見ることができるから)

8月号の15ページ目までは8巻に収録されていて、9巻の最初の章、37話「花瓶とビヤ樽」は16ページ目からになる。この部分は連載誌では40話になっていて、副題はない。最初の14ページ分が8月号(2015)収録分になる。この部分も細かい改変が多いが、単行本では読みやすくわかりやすくなっている。

例えば、賀寿に水をぶっかけられた清春が「嘘だろ」というところが「ガキかよ」になっていて、「嘘だろ」の方が清春の自問自答の天才ぽさが出るが「ガキかよ」の方が反応としてノーマルだし変な引っかかりを持たないで済む感じはする。そう、全体に改変はわかりやすく、違和感をなくす方向に行われているように思う。

だけどそのわかりやすくするための改変が新たな表現に結びつくことが多いのもこの作品の特徴、というか作者さんは意識してそのように描いているのだと思う。例えば、この単行本で最大の改変はラスト、41話「着地点」のラストに4ページ追加されているところだが、ここで「踊りにくさ」が「カップルとしての武器」に変貌したことがはっきりと理解できて、とても先を読みたくなる。ここに関してはひょっとしたら連載時に原稿が間に合わなかったからこうなったのかもしれない、とも思う(なんとなく終わりが中途半端な印象があったから)が、さすがにこの4ページがないと先がわからないので、8月号(2017)ではおそらく冒頭にこの場面が持ってこられるのではないかと思う。

このことは、連載では読んでない部分についてネットで調べた時にこの「描き換え」について触れてある記述がかなり出てきたので、そうなんだろうと思う。雑誌に掲載された時点ではまだ作品が完成していない、という作品は最近多いけれども、まあその善し悪しは別として単行本で完成度が上がること自体は悪くないとは思う。


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