5018.固定観念/命を張る人と張らない人/『国家の罠』/全ての人が理解や同情を求めているわけではない(07/18 12:35)


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昨日。昼食後出かける。地元の文教堂で本を物色したあと、丸善丸の内本店へ。いろいろ見て回ったが、結局佐藤優『国家の罠』(新潮社)を買う。最初この本が出版されたときは鈴木宗男派の外交官の自己弁護に過ぎないのだろうと思い買う気は全くなかったが、SAPIOで連載されている非常に興味深い情報調査のコラムの作者が佐藤優だということを知ったとき、この本はきっと面白いに違いないと思った。まだ2章までしか読んでいないが、期待に違わずちょっと考えられないくらい面白い。

本を買ったり何をしたりしながら、いろいろなことを考える。その考えることがうまくことばになるようなことではない、少なくとも論理的に説明できるものでない部分が多いので、この日記にも何も書けないことが多い。大事なことは書きながら考えるタイプと歩きながら考えるタイプ、そのほかにもいろいろあるかもしれないが、私の場合は本当に大事なことは考えながらちょっとどこかの世界に行ってしまうような傾向があるような気がする。具体的に文字にあらわそうとすると考えそのものがどこかに雲隠れしてしまう。

興味のあることについて考える、という程度のことは歩きながら考えるのが一番アイディアが出てくる。書くということについては書きながらが一番考えられる。しかし自分にとって一番大事なこと−それは何だろう−は結局どこかの世界に飛んでしまうような気がする。

というのは、そういうときに考えているのはおよそ非現実的なことなのだ。今考えているのは、自分がたとえば22歳のときにこういうことを知っていたらこう行動していた、というような今考えてもどうにもならないようなことが多い。ただそれが後悔というよりは、現在状況が違う中でどのように行動するべきか、ということのヒントになるような気がするから考えているのである。自分が就職していたときに出世など全く眼中になかったが、むしろ組織の中で上昇して大きな決定権を持つことを目指していくという道もありえたなあ、とかまあそういうことである。しかし当時はそんなことはとてもダサいことのように思え、全然考えなかった。そういう自分の固定観念に縛られる部分がだいぶ人生を束縛している傾向は強いなと思う。ただ、私自身の持つ固定観念というものが世間的な固定観念といろいろなところでずれているのでそれが『固定観念』という感じがしないのである。誰を説得するよりも一番難しいのは自分自身を説得することだが、それがなぜ難しいかというと自分自身のことは自分が分かっているつもりでいて実はほとんど分かっていないからなのだと思う。

時間的に前後しまくりだが、日曜の朝6時から7時、MXテレビ(東京ローカル)で『談志・陳平の言いたい放題』という番組をやっている。これは立川談志と野末陳平はレギュラーのようで、そのほか毒蝮三太夫、吉村作治などが交代で出ているようだが、昨日の朝は西部邁だった。話している内容はあまりよく覚えていないが、談志と西部が命を張って何かをやるというのの代表のような人で、陳平が命なんか張りたくないという人の代表のような話しになっていたのが面白かった。で、こういう人同士の話というのは絡み合わないかというとそんなこともなく、価値観の相違というものが逆に面白く伝えられている感じがした。

命を張らない人というのは基本的に平和主義者で、穏便。金儲けに興味があり、いろいろな欲めいたことが好き。割合と和を重んじてみんなで楽しくやれればいいという感じの人。命を張る人というのは基本的に個人主義者で過激であるのだが、それはなぜかというと、いつもどういう場面で命を張るかということを考えているから。それが命を張るに値することだと思ったら俄然興味を持つが、どうでもいいと思うと関心を失う。気分屋の傾向が強い。だから原則主義的になるし、命を張るに足る理念とか存在とかにたいして敏感な感性を持っている。その結果、感激屋ということになるだろう。

で、おそらくは人間というものは大多数は前者であって、生活を楽しむことが好きなんだと思う。しかし後者に属する人間は生活というもの自体を楽しんでいても何か足りないという思いに駆られ、平地で乱を起こすようなことをしがちになる。

いずれ全ての人間は死ぬのだから、結局その死ということにどのように向かい合うかということで人間のタイプということが決まってくるのではないかという気がする。いつも死を見つめ、そこから発想しようとする人が後者、死のことなど考えても仕方ない、明日は明日の風が吹く、と思う人が前者、ということになるのかもしれない。


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